三つ葉(ミツバ)
中国、朝鮮半島を原産とするセリ科の多年草です。
日本においては古くから親しまれている数少ない「日本固有のハーブ」の一つであり、
その歴史は野生種の利用から独自の栽培技術の確立へと繋がっています。
・古代から中世:
野草としての利用三つ葉はもともと、山野の湿地や沢沿いに自生していた野草でした。
・名前の由来: 1本の茎に3枚の葉がつくという特徴的な姿から「三つ葉」と
呼ばれるようになりました。
・食用としての歴史: 平安時代の書物などにも、セリなどと共に野草として摘まれ、
食用や薬用として利用されていた形跡があります。
独特の爽やかな香りは、古くから日本人の好みに合っていたと考えられます。
江戸時代:本格的な栽培の普及三つ葉が野菜として本格的に栽培され、
都市部の食卓に並ぶようになったのは江戸時代中期以降です。
促成栽培の誕生: 江戸時代、現在の東京都葛飾区や墨田区周辺(当時は江戸近郊)の
農家が、冬の閑散期に三つ葉を効率よく育てる技術を開発しました。
「切り三つ葉」の普及: 根元に土を盛って茎を白く軟らかく育てる「軟化栽培」が
行われるようになり、お吸い物や茶碗蒸しの彩りとして重宝されるようになりました。
江戸の食文化(和食)の洗練とともに、欠かせない名脇役としての地位を確立しました。
現代:スタイルの多様化近代に入ると、水耕栽培の普及が広まり、一年中安定して
供給されるようになりました。
現在、私たちが目にする三つ葉は主に3つのタイプに分けられます。
・糸三つ葉(根三つ葉)水耕栽培が主流で、流通量の90%以上を占める
茎が細く、香りが強い。スポンジ付きで売られることが多い。
・切り三つ葉
茎が白く、柔らかい。高級料亭などで好まれる。
暗所で育てて軟化させ、根を切り落として出荷する。
・根三つ葉
根が付いたまま出荷される。春が旬。冬に土を盛り、春に掘り出す。
シャキシャキした食感が特徴。
日本文化における三つ葉三つ葉は単なる食材を超え、
「縁起物」としても大切にされてきました。
お祝いの席: 茎を「結び三つ葉」にしてお吸い物に入れるのは、
良縁を結ぶという願いが込められています。
薬効: 漢方では「セリ科」の植物として、食欲増進やストレス緩和の効果があると考えられ、
冬の栄養補給源としても重宝されてきました。現在では、伝統的な和食だけでなく、
サラダやパスタのトッピングなど、洋風の料理にもその香りが活かされています。
※三つ葉は、年間約1万2千t程流通しています。
この流通量は、ハーブ類の中でも知名度の高い「バジル」の生鮮流通量≒1,000~1,500t
と比較しても10倍近く日本国内で愛されていることが分かります。